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こんにちは。デザイナーのすざわです。

 

突然ですが、皆さんは自分の人生において成功を収めているでしょうか?

ここで言う成功とは、例えば起業や独立して上手くいったとか、

良い職場環境でレベルの高い仕事をして出世できているとか、

理想の恋人と結ばれたとか、競技やコンテストで高い成績を収めたとか、

つまり自分が望むより良い人生を送れているか?という事です。

 

では、そういった成功を収めている人は

一般的に言う高学歴で頭のいい人たちなのでしょうか?

もちろん知的能力が高ければ、より高いレベルの教育を受けて

社会的地位の高い職に就けるなど、人生において有利に働くことは間違いありません。

しかし1990年代、世間を震撼させた地下鉄サリン事件などの

一連のテロ事件を起こした実行犯・関係者は

有名国立大学出身者や医師や弁護士などが多くを占めていました。

これは「知的能力が高い」からといって

必ずしも「間違いを起こさない」と言い切ることはできないことを意味します。

 

そして人は誰でも何かしら人生の目的を持っていると思いますが、

その目的を果たすために大切な思考法が

「クリティカルシンキング(批判的思考)」です。

今回はそれをかい摘んで取り上げようと思います。

 

 

 

クリティカルシンキング(批判的思考)とは?

 

今では結構有名ですが「クリティカルシンキング」とは、

ある問題解決においてその物事の前提を疑うことで最適解を導き出すための思考法です。

この「批判的」と言うのは何かを否定すると言う事ではなく、

客観的事実を元に問題の前提を疑うと言うことです。

 

元は1960年代のアメリカの教育学で注目されたもので、

最近では2016年1月に世界経済フォーラムが発表した

「2020年に必要なスキルのランキングトップ10」の2位に取り上げられています。

これはなぜ重要視されているかと言うと、

今までは「組織の中で求められる事を指示通りに正確にできるスキル」が求められていたのですが、

これからの時代は逆に「ある課題に対して自分の頭で考えて最適解を出せるスキル」が

求められているからです。

 

ロジカル・シンキング(論理的思考)との違い、身近な具体例

 

クリティカルシンキングと同じくロジカル・シンキング(論理的思考)も有名です。

ロジカル・シンキングは「問題を分解して整理することで、必要な情報を分析、判断し結論を出す」

ということなのですが、そもそも前提が間違っていたら間違った結論になると言う弱点があります。

例えば…

 

「俺はブサイクだからモテない」または「私の周りには良い男がいない」

こんなありがちな悩みを持った友人、1人はいるんじゃ無いでしょうか?

 

本当にそうならファッションや髪型でカバーするでも良いし、

単純に出会いの場を増やすだけでも良いはず。

しかし「ブサイクだからモテない」「良い男がいない」と言う前提が間違っていたら

見た目を変えようが、出会いの機会を増やそうが永遠にモテない、

つまり問題解決に至らない事になります。

 

そして親しい友人であり客観的にその友人を見て来たあなたは、

その友人に対し内心こんな事を思うんじゃ無いでしょうか?

 

「俺はブサイクだからモテない」→

◯女性と話す時の態度に余裕が無くて引かれてるんじゃ無いの?

◯見た目よりも無愛想が問題なのでは?

◯自分の話ばっかりしてるのが相手からしたらつまんないんじゃ無い?

 

「私の周りには良い男がいない」→

◯相手の事をよく知りもしないのに魅力が無いって決めつけてるよね?

◯相手のルックスとか社会的地位とか高望みし過ぎと思うけど?

◯相手を選ぶ以前に、良い男から選んでもらえる魅力が無くない?

 

こうやって客観的事実から見るとモテない本当の理由はブサイクや環境ではなく、

態度や行動、思い込みが真の問題なのでは?と言う疑念が浮かびますよね。

このように問題の前提を疑い、その本質をあぶり出す事で

それを解決する為の最適解へと辿り着く為の思考法、それが「クリティカルシンキング」です。

 

ここまで読んで、それ普通の考え方じゃんと思ったあなた。とっても凄い人です。

 

人は本来、楽をしたい生き物です。

その「楽」には行動だけでなく考え方も含まれます。

その考え方とは疑わず盲信する事、だから世の中たくさんいるんですよね、こういう考え方の人が。

 

「これが世の中の常識」

「自分の考えは正しい」

「自分の経験ではこうだったから」

「あの人が言ってるから間違いない」

 

何かをやって上手くいかない時、方向転換する必要がありますが、

常識や自分の主観に縛られていると方向転換できないのでいつまで経っても上手くいきません。

だから「あの人が悪い」と人のせいにしたり「今は時期が悪い」とタイミングのせいにしたり、

しまいには「今の世の中は不公平だ」などと極端な思考に陥ってしまう訳です。

 

こんな上手くいかない事だらけの人生だからこそ、

上手くいかない理由が本当にそれか?を「疑う」事が大切なのではないでしょうか。

 

 

デザインに見るクリティカルシンキングの具体例

 

デザイナーなら大抵の人が知っている、

日本を代表する世界的なグラフィックデザイナーに松永真さんと言う方がいます。

有名企業のロゴや商品パッケージのデザインなどを多数手がけており、

大抵の人がどこかで彼のデザインを知らず知らずに見ているはずです。

1986年、松永真さんがロゴとパッケージデザインを手がけたティッシュブランド

「scottie(スコッティ)」の誕生秘話としてこんなエピソードがあります。

 

-日本製紙クレシアの前身である山陽スコットからパッケージリニューアルの制作依頼を受け、現在の「scottie」は生まれました。1986年当時は、今では考えられないことですが、ティッシュペーパーのためだけに世界各国からおよそ20人ものデザイナーを集めて、国際コンペを開いていたのです。-

 

-オリエンテーションでは、デザインの前提条件として「花柄であること」と「与えられたロゴを使うこと」が伝えられました。「弱ったなあ」と思いましたよ。花は人一倍好きだけど、どんな状況でも花が優位になるわけではない。シンプルで何一つモノを置いていない部屋なら花柄でもいい。でも、ゴチャゴチャした部屋の中で生活用品として使うティッシュペーパーが花柄だったら邪魔じゃないですか。自分でも欲しいと思えるのは、部屋の片隅にソーッと置けるくらいの、シンプルな真っ白い箱だったのです。

しかし、それではコンペで優勝できない。だから、白地にストライプのデザインを入れることにしました。ストライプは誰のものでもないけど、誰のものでもある、ニュートラルなもの。今思い返すと、箱の中にあるティッシュの断層がストライプだから、それと同じようになることも直感的に感じてやっていたのだと思います。-

 

-箱のデザインを決めたら、残るはロゴです。シンプルな箱に入るものだから、その造形はより重要になってくる。でも、山陽スコットの用意していたロゴは、とても基準を満たすものではなかった。私は、一からロゴを作り直すことにしたのです。ティッシュペーパーが持たなければならない「やさしさ」や「なめらかさ」を持つ柔らかいロゴにしようと、半年の歳月を費やしました。-

 

※プレジデントオンラインのインタビューより引用

 

 

※現在も当時から殆ど変わらないデザイン。スコッティブランドサイトより引用

 

クリティカルシンキングの基本

 

基本その1「そもそも目的は何か?」を問うこと。

 

スコッティのデザインコンペにおいての目的はティッシュペーパーの箱のデザインをする事。

前提として「与えられたロゴ」を用いて「花柄」のデザインを行う事です。

しかし真の目的は「良いデザイン」をする事、この場合の「良いデザイン」とは

企業の思惑を形にする事ではなく、ティッシュを使う人の目線から見た

「主張しすぎない、目障りで無いながらそっと寄り添うようなデザイン」です。

 

基本その2「誰もが思い込みがある事を念頭に置く」

 

デザインの前提条件として「花柄にする」「与えられたロゴを使う」そう言われたら、

普通はそうしなきゃいけないと思い込みますよね。

しかし松永真さんは良いデザインにするために花柄はいらない、

支給されたロゴも使えないと言う事であえてルールを破ることを決断します。

そして結果として松永さんのデザインは評価されコンペにも優勝し採用されたのです。

ちなみになぜ、デザインの前提条件に「花柄」が挙げられていたかと言うと、

80年代バブル真っ只中の当時、ティッシュのパッケージは花柄などの

華やかなデザインが好まれるはずと言う暗黙のセオリーがありました。

それこそがまさに企業側の思い込みであった訳ですね。

 

基本その3「問い続ける」

 

最後にこれはデザインの事例でしたが、

自分の身の回りの事でも仕事や恋愛、家族や友人とのことなど、

何かが上手くいかない時、まずはその理由を色々な角度から見つめ直してはどうでしょうか。

 

本当にそうなのか?自分の思い込みなのでは無いか?など、

問い続ける事をやめずクリティカルシンキングを実践していくことが

人生をより豊かにする道筋だと思います。